« 2017年06月 | メイン

2018年04月 アーカイブ

2018年04月22日

オタク差別問題以前に『オタク』という言葉について

先日からのオタク差別問題、どうも違和感というか感覚のズレを感じていてずっと気になってたんだけど、やっとその理由に気がついた…!そしてその理由に軽く絶望もしたんでちょっと書いてみます。

信長様の享年にも近付いてきた私達やその上の年代で子供の頃から漫画アニメファンやってる者にとっては当たり前で常識過ぎてスルーしていたんですが、そもそも『オタク』って呼称自体が蔑称ですからね!『ジャップ』や『ニガー』、最近だと『日本鬼子』と変わりありませんから!
日本人の性格なんでしょうが、『ジャップ』と同じで元々蔑称だったことを知らない/気にしない人が多い(場合によっては粋がって自ら名乗る)んでしょうが、これらの蔑称が米国辺りで使われたらどういうことになるかは最近の報道でもわかりますよね?

そもそも、かつて『マニア』と呼ばれていたものがいつから『オタク』と呼ばれるようになったのか。これは諸説あるんですが、当時、きっかけとなったのではないかと言われていたのが『超時空要塞マクロス』(1982-)のヒットです。
その主人公である一条輝が会話する際に相手のことを「おたく」と呼んだのですね。この言葉自体は敬称として古くからあるものです。「御宅の息子さんが」なんて言い回しは聞いたことがあるでしょう?で、ファンの間でこの敬称が流行り、お互いを「おたく」と呼ぶようになった。
当時やはり蔑称として流行った『根暗』がそのお互いを「おたく」と呼び合う会話を見て、それをして彼らのことを『オタク』と呼ぶようになったと言われています。この流れからわかると思いますが、『オタク』とは本来「根暗(内向的)なアニメファンを指す蔑称」だったのです。

宮崎勤事件がきっかけでオタクが差別された?大きな間違いです。あの事件は1988年。その5年も前にはアニメファンはオタクと呼ばれて差別されていましたよ。その差別があったからこそ、宮崎勤事件の際にマスコミが宮崎勤を『オタク』として叩いたのです。
順番が逆です。でなければ雑誌入れ替え演出事件など起こらないんですよ。宮崎勤事件は『オタク』という蔑称を一般人に広く周知させるきっかけにしかならなかった。そして『オタク』は「根暗でロリコンで宮崎勤のような犯罪者になる」と印象付けた。

その後TV等でファンやマニアと呼ばれる人々(大抵は趣味に没頭する内向的な人々)をイジる番組が増えていった。当然呼称は蔑称としての『オタク』です。
『オタク』という蔑称が一般化していったのは、マニアという言葉と置き換わっていったこと、アニメ漫画ファン以外にも範囲が広がったことが大きいですが、それはTV等のメディアが『オタク』という蔑称を当たり前のように使い続けた結果に過ぎません。当たり前のように使うから、若い世代は蔑称と気付かない。

90年代に入ればそれを自嘲的に自称する人も増えていったし、ゲームやライトノベルの流行、明るく人気のあるタレントやミュージシャンが好きなゲームやアニメの話を表でするようになったことによってさらに蔑称としての認識は薄れていきました。
それ以降に生まれた若い人達は、それが蔑称であることを知らないまま自ら『オタク』を名乗り続けているだけなのですよ。
私は自分のことを『オタク』とは言いたくない。

そんなわけで、オタク差別問題でどうも認識にズレを感じるのはこの90年代以降とそれ以前での『オタク』という言葉に対する認識の違いが原因ではなかろうかなどと思ってみたりした。

About 2018年04月

2018年04月にブログ「ほえほえがーでん」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2017年06月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.34