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機動戦士ガンダムAGE アーカイブ

2011年10月14日

ガンダムAGE 第一話感想

いよいよ始まりましたね、ガンダムAGE。
さっそく…でもないですが感想書いてみようと思います。
本当は絵の1枚でも描いて…と思っていたのですが、まぁお察し下さい。

今世紀に入ってからのガンダムには期待を裏切られ続けたので、あえてもう何も期待しないようにして鑑賞しました。
私の感想としては…正直…これはちょっと酷い、ですね。

先程「何も期待しないようにして」とは書きましたが、久しぶりのガンダムTVシリーズだし、前情報はある程度は入ってきますし、シリーズ構成の日野氏のコメントなんかも目に入ってたりはしてましたので、ある程度は期待…というか幾つか興味はあった訳です。

例えば、UEの最初の襲撃から14年間、ずっと襲撃を受け続けているにも関わらず全く勝てていない人類とか、それ程の状況にありつつ未だに平和…というより安全だと考えられているスペースコロニーが存在していることとか、天才で英雄になる主人公とか、何年もかけて開発されたガンダムとか、その設計図が入っていたAGEデバイスとか、機体+AGEデバイス+フリットの3つが揃って初めてガンダムなんだ、とか。

まぁこの辺りが第一話で明確に示されることは当然無いだろうとは思っていたのですが、極めて期待外れな方向で示されてしまいました。
表面的に受け取ると期待外れ過ぎるので、それを今後も期待できる方向でポジティブ解釈もしてみてそれも書いていってみます。

14年間全く勝てていないにも関わらずそれに対して全く何の警戒感も持っていない登場人物達。
平和なコロニーだからフリット以外の人達は危機感を持っていない状況を描きたかったのかもしれません。
ですが軍の方までその状態なのはどうなのか。
実際にUEが攻めて来た際に組織的な抵抗が全くとれていません。
散々平和ボケしていると言われている日本であってもスクランブルかかれば5分で戦闘機を上げることくらいはできます。
一方彼らは格納庫に整備士さえいない有様です。
市街への攻撃をフリット達が確認して走って基地に戻ったり、爺さんがAGE-1を(おそらく)ファクトリーから基地外縁のジェノアス格納庫に隠す為に移動(笑)させるくらいの時間はあった筈なのに。

一方のUEですが、私は彼らは結局人類で、何らかの戦略目的があって行動しているのだろう、だからこそ圧倒的な戦力を有しているにも関わらず14年間も積極的な侵略行動を行なっていないのだろうと予想していました。
しかし彼らはフリットによる「計算」で襲撃予測ができる程パターンのある襲撃しか行なっていないことが示されました。
つまり彼らは状況に応じた戦略に基づく作戦行動を一切行なっていない訳です。
それはそれで「そういうものなんだろう」と納得するだけのことなのですが、ではそんな彼らは何故にコロニーを外部から破壊できる程の戦略兵器を持っていながらMSでコロニー内に侵入し、戦闘兵器が配置されている訳でもない市街を適当に破壊しつつ、基地に向かって進撃を行ったのかが不可解なのです…というか行動が矛盾してます。
撃破された味方機を処分する=その技術を渡してはならないという発想はできるのに、自爆装置は搭載せず、部品や装甲材が間違いなく残るビームキャノンによる外部からの破壊なんて手段を取る。
撃破されるのが完全に想定外だったとしても、そこまで考えが及ぶのであれば機体の不完全な破壊ではなく回収を考えるのが妥当です。
勿論その行動の矛盾について今後何か語られることがあるのかもしれません。
というかそうであって欲しいなぁ。

フリットはせっかく計算したUEの襲撃予測を育ての親である基地司令官には見せず、何故か学校の教師に授業妨害を行なってまで訴えかけます。
この行動はもうあちらこちらでツッコミネタとして有名になっていますので私がわざわざ言うまでもないのですが。
でもそれだけではなんなので、これを超好意的解釈してみましょう。

考えられる可能性1:過去に何度も計算していて、それを過去何度も基地司令官に訴えかけたにも関わらず、実際に襲撃は起こらず既にこの件では彼には信用されないことをわかっている。(しかしこの場合、彼が天才であるという周囲の信頼と矛盾はする。MS開発に関しては信頼しているが、それ以外のことは彼の専門外として判断しているかもしれない。)

考えられる可能性2:あえて基地司令官には見せなかったし、教師にも信用されないのをわかっていて見せた。基地司令官は信用してくれる可能性が高いが、その場合UE襲撃への警戒体制に移行しコロニー外でUEの襲撃を阻止しようとするかもしれない。その場合、フリット自身が搭乗してのガンダムの出撃機会が失われる可能性が極めて高い。自分の発言を信じないことがわかっている教師にはこの警告によって発言力を高めることができる。そのような極めて打算的な判断で基地司令官には進言しなかった。(この場合、後々それを指摘され、基地司令官に襲撃を警告しなかったことを咎められるエピソードがあるかもしれない。)

この可能性2については、UE襲撃時にラーガンをガンダムに搭乗させようとするシーンと矛盾するのですが、ひょっとするとそれさえも計算高い彼の演技かもしれません。
日野氏の発言によると機体+AGEデバイス+アスノ家の血が揃って初めてガンダムらしいので、ラーガンが登場しても何故かAGEシステムが起動しない結果になることをわかっていたのかもしれません。
第1話では切羽詰まった状態でフリットの搭乗を許可した大人達ですが、2話以降に他のパイロットを乗せようとして起動しないというエピソードが描かれるのかもしれませんね。そう考えると、爺さんがジェノアスの格納庫にガンダムを運んできていたのはフリットにとって想定外の事態で、その場所ではラーガンなり他のパイロットにガンダムの操縦を任せる流れにならざるを得ず、その為に彼はガンダムを見た時に動揺したのかもしれません。
本来はジェノアスが全滅し、格納庫も破壊された後、その段階で開発施設にあるガンダムに(他に近くにパイロットが居ないため)自然な流れで搭乗することを企てていた…と考えればこれらの行動にもスジが通ります。

生い立ちや時々現れる表情や発言から考えてもフリットは本当は母親の敵をとりたい復讐鬼で、その天才的頭脳をもってこれまでその本性を隠し通し、周囲の大人達を信用させ、ずっと復讐の機会を待っていたのかもしれません。コードギアスのルルーシュみたいですね。それくらいで考えないと彼の言動は支離滅裂なのですが、心の声が描かれていないだけなのだとしたなら、ガンダムAGEにも期待が持てそうです。
本当はフリットの復讐鬼っぷりを前面に押し出して描いてくれた方がドラマとしてはずっと面白いし、時間をかけて周囲の人間が働きかけていくことによってフリットは復讐鬼から真の英雄、救世主になっていく…とかあると面白いのですが。
それでもフリットに「救世主になれ」とか言って何の疑問も持たず送り出す周囲の人々や、自分で作ったくせに攻撃を耐えたことを驚くフリットとか、威勢よく飛び出して武器のことを何も考えてなかったフリットとか、まぁツッコミどころはいくらでもあるのですが。

物語的なところにばかり触れているのもなんなので、アニメーション的な部分にも少し触れてみます。

一貫して言える残念なところが、MSのその巨大感の無さ。
人間との対比になるカットはいくつかあるのですが、人間視点が無いんですよね。
俯瞰だったりロングだったりばかり。
まるでプラモのジオラマ見てる感じです。
例えばアバンタイトルなら、ガフランはもっとフリットからの視点を強調して、アオリでまるで巨大な怪獣のように描くこともできた筈です。
中盤の、市街を破壊するガフランもしかり。着地するガフランは人間視点で描いた方がもっと迫力が出たでしょうし、基地に砲撃を行うシーンではもっとロングで描いてもよかったでしょう。
この辺りの見せ方は1stの第一話やスターゲイザー第一話の方が遥かに上手かったといえます。

ガンダムの動きも正直微妙と言わざるをえません。
起動後、シャッター前に移動する時の脚の運びなどの一連の動きはSEEDのストライクそのままです。
ガフランとの戦闘の流れもSEED第2話のストライクの初陣と全く同じ流れでした。「バランサーの調整は戦いながらになるぞ」なんてセリフもあったので当然それもやっていたのでしょう…そのような描写は全くありませんでしたが。
敵の攻撃を腕で受け止めたり、とりあえず反撃してみるけど効果がなかったり。最終的には懐に飛び込んでのダガー攻撃によって敵1機を撃破、って流れは全く同じです。
ではストライクの初陣とAGE-1の初陣、どちらの展開や行動が自然で、どちらがハラハラドキドキできて、どちらが目新しく、どちらが格好良かったでしょうか?
私にはどう客観的に見てもSEEDのストライクの初陣の方が良かったように見えたのですが。
少なくとも、全く同じ展開を描いている限り、超えてはいないことだけは確かだといえます。
贔屓目に見て同じ程度だったとしても、10年前のガンダムと全く同じ程度って正直どうなのよ?としか思えないのですが。

総括として、全体的に対象年齢を下げて児童向けに作ったのだろうな、ということはわかります。
しかしこれではとても一般的な大人の視聴には耐えられません。
子供向けロボットアニメを大人の視聴にも耐えられるものにしようという1stのコンセプトは失われました。
しかし日野氏は「大人も楽しめるものになっていますので期待して下さい」と仰っている訳です。
子供騙しを見せられて喜ぶ大人がいると思っているのでしょうか。
それどころか子供を馬鹿にし過ぎです。
今はいいかもしれません。ひょっとすると幼い子供は喜んで観るのかもしれない。
しかしこれが10年、20年後。その幼い子供達が大人になった時再びこれを見返して、おかしい(愉快なもの)という意味ではなく、本当に面白い作品として見ることができるのでしょうか。
正直私は疑問です。
コンテンツとしてここまで成長したガンダムはそれを求められている筈です。
昨今のガンダムはそれができていなかったことにより関連商品の主力購買層の高年齢化を招き、このままではガンダムというコンテンツに未来が無いと判断されたからこそ求められた児童向けだった訳では無いのでしょうか。
新しいガンダムに求められたのは平成ライダーシリーズの成功であったのだろうと考えるのですが、どう考えてもこれではウルトラマンや戦隊シリーズだと思うのですよ?
私は前者でなければならないと思っていますが、百歩譲って後者のそれを目指していたとしましょう。
だとすると、その内容はサンデーに掲載された漫画版の方が遥かに良くできています。
展開も遥かに自然だし、インパクトも充分。
わかりやすさと言う点でも素晴らしいものでした。

ガンダムですし、おそらく私が視聴を打ち切ることはないでしょう。
日野氏の発言によれば「3話まで観てから判断して欲しい」とのことですので、AGEというシリーズそのものの成否についての判断はまだしません。
但し、少なくともこの第一話はマイナスであったとは言えます。
今後これがどこまで持ち直せるのか見守って行きたいと思ってます。

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