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機動戦士ガンダム00 #2ガンダムマイスター

先週末の放送からいろいろあり過ぎて、第2話の記事がギリギリになってしまいました。ひー。
という訳で、第2話のストーリーについて私の感想と分析など。

今回は、ソレスタル・ビーイングの初めての紛争介入を中心に、ソレスタル・ビーイングの理念とそれを発現するガンダムとガンダムマイスターというものがどういうものかが描かれています。また、第1話のラストと共に、人々がそれをどのように受け止めるかが描かれ始めています。

アバンタイトルは、ガンダムではお約束な世界観の説明ナレーション。
これが第1話の前に来ないところからも、第1話がプロローグだったことがよくわかりますね。
ここではこの世界のおおまかな構造と情勢、歴史の流れがわかるようになっています。
気がついた興味深い点が2つ。
1つは、人革連の軌道エレベーターが思ったより東(何とソロモン諸島北)に建っていたこと。軌道エレベーターは基本的に赤道上に建てるしかないのですが、日本とオーストラリアはユニオンに属しており、南米の軌道エレベーターからエネルギー供給を受けているのです。地図を見ていただけるとこれが如何に異常で歪な国際情勢なのかわかるのではないかと…。
もう1つは、アフリカ大陸の諸国がAEUに加盟していなかったこと。雑誌等の事前情報ではアフリカはAEU所属だったと思うのですが、そうではなかったのですね。ということは現地(おそらくコンゴ辺り)とそこからケーブルを通す途中の国々と何らかの条約を締結して建造しているのでしょう。AEUの軌道エレベーターは未だ建造中だという話もありますので、本格的な電力供給が始まった暁には、南米のようにアフリカ大陸の国々はAEUに加盟していくのかもしれません。AEUが第三国にMSヘリオンを大量輸出しているのも、影響力が必要なAEUの事情の表われなのでしょう。

本編は、第1話のラストからの続き、その夕刻からスタートです。
現段階の人々にとって「ソレスタル・ビーイングとは何なのか?」を提示しています。
東京の2人の会話から、大多数の一般人はソレスタル・ビーイングの存在そのものに疑問を抱き、気楽に正義の味方と捉える者もいることが描かれます。
しかし各国首脳はガンダムの介入を目の当たりにしていますので、その存在には疑問を持ってはいません。ガンダム程の高性能MSを造るには高い技術と資金が必要ですので、むしろその背後にどの勢力が関与しているのかが重要と考えています。少なくとも、ソレスタル・ビーイングの示した「利益を求めない」という言葉は信じてはいません。
一方、ユニオンのパイロット、グラハムは、言葉の上ではソレスタル・ビーイングよりもガンダムそのものに興味を持っているところがパイロットらしくて面白いところです。

そして始まるソレスタル・ビーイングの2ndミッション。
旧スリランカ、セイロン島の紛争に武力干渉します。初の紛争介入であり、ソレスタル・ビーイングの理念に基づく最初の作戦でもあります。第1話で描かれた作戦はあくまで世界に対してメッセージを強烈に発信する為にのみ行われており、彼らの理念を発現したものではありませんでした。
しかし今回は、ソレスタル・ビーイングの紛争介入というものがどういうものなのかを明確に示すものとなっています。
この紛争は、シンハラ人とタミル人の民族紛争に人革連が介入して泥沼化しているものです。つまり、先進国といえる勢力は人革連しか介入していないのです。タミル人に肩入れする人革連が攻勢をかけているその真っ只中にガンダムは介入、人革連の部隊を殲滅していきます。

この戦闘に入る前、刹那が面白い反応をしてみせます。
人革連とシンハラ人のMS部隊の戦闘を見て、6年前に経験した出来事を回想します。MSに追われ、まさに命を奪われんとするその瞬間に、天空よりの光で次々にMSを破壊し、現れるガンダム―。
彼は言います。
「ガンダムだ…………俺が、ガンダムだ」
刹那は、6年前に目撃したガンダムそのものに。自らがその鉄槌を下すものになるのだと考えているのではないでしょうか?

ここで描かれるMS戦は実に素晴らしいものがあります。
人革連のMSのその重そうな描写は見事なものですし、後方支援部隊との連携も見せてくれます。
ガンダム4機はスメラギ女史の戦術予報に従って、それぞれの役割を果たしていきます。

エクシアはその驚異的な運動能力を発揮し、前線にて人革連のMS部隊を蹂躙していきます。ここでは、その巨大な剣がただ刃物として物理的に切断しているのではないことと、敵砲撃を盾できっちり受け止めることによって、その盾の防御力を示すとともに、エクシアが「盾で受ける」必要がある機体なのだということをみせてくれました。

デュナメスは敵支援部隊を上空より狙撃、殲滅します。ここでは、照準に専念するロックオンの支援としてハロが回避を担当し、ハロが如何に重要なパートナーなのかを示してくれました。敵部隊殲滅後、上空より、敵MS部隊を次々に殲滅していくエクシアの動きを確認したロックオンが重要な台詞を口にします。
「気合の入れ過ぎだ、刹那!」
エクシアは元々白兵戦用ですので、敵機との距離を詰める事自体は間違ってはいません。しかしここでこのような台詞がでるということはつまり、必要以上に敵MSを蹂躙していく必要はないことを示しているといえます。

キュリオスは今回、爆撃用のミサイルコンテナを装備して出撃しました。その機動力を生かし、人革連駐屯基地で出撃準備中のMS部隊を殲滅します。ここでのアレルヤの台詞と表情は重要です。
「これで稀代の殺人者…っ。 けどね……これがソレスタル・ビーイングだ!」
つまり彼らは、自分達が行っていることが結局は単なる殺人であり、それに良心の呵責を感じつつも、それを行うことこそがソレスタル・ビーイングなのだと認識しているのです。

ヴァーチェはその火力で人革連の大型輸送艦を撃沈します。敵MSの砲撃をまるっきり無視してみせることによって、その類稀な防御力の高さをみせてくれました。

そして、人革連MS部隊の撤退によって戦いは幕を閉じたように思えます。
しかしここで、非常に重要なやり取りが行われることになります。
人革連MSへの攻撃を止めたエクシアを見てロックオンは呟きます。「ここまでだ…ここまでだよ、刹那」
しかし、敵が崩れたことにより、シンハラ人MS部隊が攻勢に出ようとします。ガンダムの支援に感謝の言葉を述べながら。
それを見てロックオンは叫びます。「このバカ野郎!」
狙撃準備に入るデュナメス。エクシアの側を通過していくシンハラ人MS。動かないエクシア。
デュナメスが狙撃しようとしたまさにその時、エクシアはそのシンハラ人MSを撃破してしまいます。
そのエクシアの行動を見て、ロックオンは安堵のため息をつくのです。
そして刹那は言います。「これが、ガンダムマイスターだ」
これが何を示しているかというと。
つまりソレスタル・ビーイングは、全ての戦力を殲滅するのが目的ではないのです。

双方への攻撃。
これは、世界の人々に衝撃を与えることとなります。
「ソレスタル・ビーイングは何を考えているのか?!」と。
ここで、人革連のセルゲイ、王留美、未だ正体のわからない謎の人物、スメラギの台詞で、ソレスタル・ビーイングの理念が何なのかを視聴者に示してきました。
「一度の介入で―紛争が終わると本気で思っているのか!?」
「一度だけじゃない。何度でも介入するわ。」
「紛争が終わるまで。憎しみが私達に向けられるまで。」
「それがソレスタル・ビーイング。私達は物事を変える時につきまとう痛み。」
つまりソレスタル・ビーイングは、人類全ての敵となることによって、人類全てを一つにしようとしているのです。
古くからある「敵の敵は味方」ってやつですね。
この手は、国内情勢が悪化している国ではよく使われる常套手段です。国民に仮想敵国、憎しみを向ける相手を示すことによって、国内世論を1つにまとめようとする訳です。
私はこれをこの作品の重要な仕掛けの1つだと考えていました。
しかしそれがまさかこんな早い時期に明確に説明されるとは思ってもみませんでした。
ということは、描かれていくのは、その先にある物語です。
私の展開予想では、ソレスタル・ビーイングの理念に気付く者と気付かない者(今のところはこちらしかいません)、それぞれの中でそれに賛同する者、否定する者、また、同調していく者、拒否していく者。そういう、ソレスタル・ビーイング以外の人々のドラマが描かれていくのではないかと期待しています。

そして、先行して帰還中のエクシアと、グラハム搭乗のフラッグとの激突で第2話終了。
実に強烈な引きです。
早く続きが楽しみです。
………といっても、この記事のアップが遅れて、あと15分で第3話が始まっちゃうのですけど(^^;

コメント (2)

るふぁーる:

2話解説お疲れ様でした。

なんか話の展開が早いみたいで目が白黒してますが。
話の内容としては解ったんですが、
ずいぶん面倒なテーマにそって話が動いているみたいですね。
話の内容的にはかなりシビアだし、
対象にしている視聴者の年齢設定もかなり高めな感じ。
ただ、元々ガンダムはこの路線で来てましたし、
流れ的には納得できる内容みたいですね。
まあ、変り種が途中に有りましたけれど、
あれはあくまでもインターバル的なものだと思うし、
流れ的にはまったく別の物ですからねぇ。
にしても、
「ソレスタル・ビーイング」がこの後どのように世界に影響を与えていくのかが楽しみです。

はい、滅茶苦茶展開早いです。(笑)
私はここまで描くのに10話近く使っちゃうんじゃないかと思っちゃってました(^^;
まだ始まったばかりなので、テーマ自体はまだ明確にコレとは言えないんですが、なかなか色々仕掛けがしてありますね。
映像で描かれている後ろにもちゃんと世界が存在しているその描き方は、いろいろ考えれば考えるほど面白いです。
元々ガンダムは1stの時からこの路線ですね。
児童にはカッコいいロボットを。
ちょっと大人(当時社会人はアニメ観なかった)にはドラマを。
少女にはカッコいいキャラクターを。
実にガンダムらしい作品としてスタートしたと思います。マスク被った人がいないのがガンダムらしくないですけど。(笑)

第3話は「変わる世界」です。
これから世界はどれだけ変わっていくのか楽しみでしかたありませんね。

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2007年10月20日 17:47に投稿されたエントリーのページです。

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